一次救命対応について
誰かが倒れたり、気分が悪くなったりした時、私たちにはどんなことができるでしょうか。ここでは、一次救命について考えていきます。
「一次救命」とは、傷病者をベストな形で医療に繋げるためのアクションです。
通報や胸骨圧迫・AEDなど以外にも、多くのものが含まれます。
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皆さんは、今まで救命講習を受講してきていると思います。
まず、救命講習で皆さんが勉強してきた事について考えてみましょう。傷病者を発見したら、どうしますか?
まず、周囲の安全を確認します。そして、反応と呼吸の有無を確認します。
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そうですね。肩を叩いて、「大丈夫ですか?わかりますか?」と声をかけると思います。
そして、誰かに助けを求めて、119番通報とAEDを依頼します。
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そうですね。では、なぜ119番通報とAEDを依頼するんでしょう?
なぜ…?
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なぜかというと、反応がなくて呼吸がなかったからですよね?
おそらく、皆さんは救命講習で、胸骨圧迫のシミュレーション用のマネキンに「大丈夫ですか?」と声をかけていると思います。
そこで、今回、皆さんにはシミュレーションという事で、ぶっつけ本番で「大丈夫ですか?」と声をかけたら「大丈夫です」と言われるというシミュレーションを体験してもらいました。実際にやってみて、どうでしたか?
実際に、「大丈夫ですか?」と声をかけて「大丈夫です」って言われると、どう対応していいかわからないですね…。
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たぶん、皆さんが受講してきているのは、主に「心肺蘇生法講習」なんじゃないでしょうか。その場合、「心肺停止」、つまり「反応なし・呼吸なし」という前提だと思います。
しかし、「一次救命」となると、心肺蘇生法に限らず、意識がはっきりしていたり、呼吸がしっかりしている人も傷病者の中に入ってきます。具体的にいうと、心肺停止の人よりも、貧血(※)や熱中症で倒れた方を救助する場面の方が日常では多いと思います。そこで、今回は「貧血」という設定でシミュレーションをしてみました。
※正確には「一過性脳虚血」。以降、ここでいう「貧血」は一過性脳虚血を指します。
実際に貧血や熱中症と思われる方を見つけた時、「何をしていいかわからない」「何もできない」と思うことはありますね…。
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もしかすると、心肺蘇生法講習を受講している人ほど、声をかけて反応があった時に慌てるかもしれません。
多くの方は、心肺蘇生法を受講したことで「誰かの助けになれば」という意識が高まると思います。しかし、「何か手伝えることは?」と考えた結果、「何もできなかった」と感じてしまう機会も多くなると思います。
「自分にできることは…」と考えても何もできなくて、無力感を感じたことがあります…。
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そこで、「私たちがすべきこと」というのを、一歩引いた目線で考えてみましょう。
「大丈夫ですか?」と声をかけて「大丈夫です」と返答があるというのは、「反応も呼吸もない」という状況に比べたら、圧倒的に安心できるという事です。
特に呼吸がしっかりしていれば、その人は酸素を脳や体内に取り込み続けることができます。なので、「大丈夫です」と返事が返ってきたら、ひとまず安心していいという事です。
なるほど…。では、私たちは何をしたらいいでしょうか?
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まず、「反応あり・呼吸あり」というのと同じように、「この人はどういう状況なのか」というのを知る必要があります。
今回の場合は、意識がはっきりしているので「どうしました?」と聞いてみるといいと思います。楽な姿勢で休ませる、例えば「めまいがして倒れた」「貧血だと思う」という事なら、「横になってしばらく安静にする」というのがいいと思います。
「休ませる」という事は、僕たちは何をしたらいいでしょうか?
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まず「観察」です。「しばらく休む」と言いましたが、悪化している場合や、目安として20分休ませても回復しない場合は、救急車を要請します。それ以外は、原則として「観察する」というのが必要になります。
なるほど…。
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あとは、スタジアムなら警備スタッフ、駅なら駅員などに伝えて引き継ぐ必要があります。「横になって休ませる」という事なら救護室を使わせてもらった方がいいかもしれません。
つまり、「観察する」「場所によっては警備スタッフや駅員等に引き継ぐ」以外に、「私たちがすべきこと」というのはそれほどありません。
警備スタッフや駅員さん、もしくは周りの人が既に対応していたら、「大丈夫そうだな」と思っていいと思います。
そう考えると、僕たちがやるべき事というのは少ないんですね。
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次に、「私たちができること」という視点で考えてみましょう。
「この人は何をして欲しいのか」というのを考えたり、聞いたりしてみるといいと思います。「何か飲み物買ってきましょうか?」とか、「日陰に移動するのを手伝いましょうか?」とか、「暑くないですか?」「寒くないですか?」とか。
なるほど!そうすると、私たちにできることはいろいろありそうですね!
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「私たちにできること」という点では、そういった「ホスピタリティ」のようなサポートの部分が多いと思います。
困っている人に対して、「その人が何をして欲しいのか」という視点で考え、コミュニケーションを取りながら必要に応じてサポートしていくと、一次救命対応がスムーズにできると思います。
Point
- 「大丈夫です」と返事が返ってきたら、ひとまず安心する。
- スタジアムや駅などでは、警備スタッフや駅員を呼び、引き継ぐ。
- 安静にしたら治る症状の場合、まずは安静にする。
20分休ませても回復しない場合は、119番通報。 - 「何をして欲しいのか」を考えたり、聞いたりしてみる。
「して欲しいこと」を聞くと、「できること」が増える。