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安全確認と安全確保について

 

実際に救護対応をするとき、周囲の安全は最優先で確認します。今回は、実際の救護対応時の危険物と安全確保について考えます。

今回は、実際に救護対応の現場について考えてみようと思います。まずは、一般的な心肺蘇生法について考えてみましょう。

まずは、周囲の安全を確認して、傷病者に声をかけます。

そうですね。では、「周囲の安全を確認」という点ですが、「周囲が安全ではない」というのは、どんな場合でしょうか?

あまり考えた事がなかったですね…。

確かに、一般的に「周囲の安全よし!」というプロセスは必ず踏むのですが、具体的に何が危険なのか、あまり想定されないと思います。
そこで今回は、具体的に「こんなものが危険」というのを、みんなでブレーンストーミング形式で考えていきたいと思います。

〜〜〜〜〜 ブレスト 〜〜〜〜〜

では、ブレストで出たものを、大きく分類しながら、それぞれの安全確保について考えていきます。
まず、安全確保の優先順位ですが、優先順に
・自分自身
・パートナー
・周囲の人
・傷病者
です。

まず自分の安全を確保する、そして自分の身近な人に安全を確保するよう伝える、さらに、周囲に人がいれば周囲の人に安全を確保するよう伝えます。そして、傷病者の安全を確保し、救護にあたります。

まずは、危険を及ぼす「もの」について考えていきましょう。

「血液」「嘔吐物」などです。これは、まず素手で触れないこと、そしてゴム手袋などの感染防護具をつけることで安全が確保できます。

外傷の場合、例えば「刃物」などの危険物です。これは、付近に落ちていたりした場合は、離れた場所に起き、周囲の人に触れないように注意を促します。

あとは、蜂や蛇などの動物です。噛まれた場合、付近から動物が遠ざかった事を確認して傷病者に近づき、傷病者を安全な場所に移動させます。

そうですね。あとは、自動車の事故などの場合、ガソリンが漏れ出ていたりすると危険です。この場合、爆発の恐れがあるので、自分自身の安全を優先し、避難してから通報します。

次に、危険を及ぼす「人」について考えてみましょう。

暴動やテロなどです。これも、自分自身の安全を確保するため、まず避難して通報します。

犯罪などの場合も同じです。犯人が近くにいるかもしれない場合、まずは避難して通報します。

あとは、子供です。子供が近づいて血液などに触れたりしないよう、傷病者から遠ざけます。

そうですね。暴動などの場合、警察などが制圧するまで近づいてはいけません。
パニックの場合も同様ですが、周囲の人に呼びかけて落ち着かせることができれば、救護にあたる事が可能になります。
海外ではスタジアムでの暴動や銃乱射の例もあります。ファン同士の揉み合いで誰かが怪我をしても、揉み合いが止むまで助けに行けません。安心で安全なスタジアムをつくることは、誰かを救うためにもとても重要なことです。

次に、危険な「環境」というのを考えてみましょう。

地震や台風、洪水などの「災害」です。この場合は、自身の安全確保のため避難します。

そうですね。また、災害後の泥や瓦礫の中などは、感染症を媒介するダニなどの虫が出る事が多いです。軽装で救助にあたるのは危険なので、しっかり防護する必要があります。

あとは、「交通量が多いところ」です。自動車の往来が多い場所では、発煙筒を焚いたりして、その先に傷病者がいる事を知らせて安全を確保します。傷病者が動かせる状態なら、安全なところに移動します。

「人混み」も同じです。道を空けるよう促したり、傷病者を動かせるようなら安全なところに移動します。

「非常に暑い場所や寒い場所」では、傷病者を動かせる場合は、涼しい場所や暖かい場所、室内などに移動させます。

そうですね。あとは、「もの」の時に出てきたガソリンや、ガス漏れ、毒物など、周囲に危険なものが充満している状況もあります。こういう場合も、やはり避難して自分の安全を確保し、通報します。

と、ここまでいろいろ出ましたが、周囲の安全確認は、二次災害を引き起こさないために、とても重要なことです。
実際に整理してみて、どうでしょうか?

安全確保の方法は、大きく分けて「避難する」「血液などに素手で触れない」「危険なものを遠ざける」「傷病者を安全な場所に移動する」の4つになるのかな、と思います。

そうですね。
あとは、周囲の安全を確認したあとでも、状況は変化し続けるというのを念頭に入れる必要があります。
例えば、救護を始めたあとで周囲に人だかりができたりします。
そういった場合、周囲の人に協力をお願いしたりして、人垣を作ったり、道を空けるよう促してもらったりすることで安全を確保しましょう。

逆の立場で考えると、誰かが救護にあたっている現場に遭遇した時に、周囲の安全を確保したりするのを手伝うことができますね。道を空けるよう促したり、危険なものに近づかないよう伝えたりするのも、救護対応のサポートになるんですね。

スタジアムを想定すると、特に混雑子供が想定されると思います。また、状況によっては災害テロ乱闘などの可能性もあります。まずは自身の安全を確保し、危険な場合はその場から離れるように周囲に促したり警備に要請したりした上で、安全が確保できた場合は、救護にあたることができます。

Point

  • 安全確保の優先順位は、
    自分>パートナー>周囲の人>傷病者
  • 周囲の危険が自分の手に負えないときは、避難する。
  • 血液などには素手で触れず、感染防護具をつける。
  • 危険なものは遠ざける。
  • 傷病者を移動できる場合、安全な場所に移動する。
  • 可能な場合、周囲の人にも安全確保を手伝ってもらう。
    また、救護対応の現場に遭遇したら、安全確保を手伝うこともできる。