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実際の傷病者対応について

 

一般的な救命講習では、シミュレーションの時にすべてがスムーズに進むようにできています。今回は、実際の救護の現場について考えます。

救護対応について、いろいろなシミュレーションをやってきましたが、実際に傷病対応にあたる時、どのように自分で通報の判断をするか、もう一度考えてみましょう。

原則として、

・反応なしの場合は通報(呼吸がなければ胸骨圧迫)
・自分の手に負えないと思ったら通報
・20分休ませても回復しない/悪化している場合は通報


でした。

そうですね。
傷病者に意識があり、呼吸が安定していて命に別状がない場合、ひとまず安静にして、回復するかどうかを観察します。
これで、みなさんの中でひとつの基準ができていれば、落ち着いて対応できると思います。

そうですね。これを知ることで、「どうしたらいいかわからない」というのは減るかなと思います。

しかし、逆に考えると、周囲には「どうしていいかわからない」という人も大勢いる可能性が高いとも言えます。
そこで今回は、みなさんが「ひとまず安静にする」という判断をしたところに大勢の人が声をかけてくる、というシミュレーションをしてみます。

〜〜〜〜〜 シミュレーション 〜〜〜〜〜

実際にやってみて、どうでしたか?

自分で「安静にさせて観察する」という判断をしていても、いろいろな人からいろいろ言われると、プレッシャーがかかりますね…。

そうですね。今回は「友人の介抱」という設定でシミュレーションしましたが、実際に介抱していると、「大丈夫ですか?」と声をかけてくる人はとても多いです。
実際には「観察」くらいしかやることがない場合でも、すぐに救急車を呼ぶよう迫ってくる人がいたりするので、介抱している私たちも不安になるようなケースは多々あります。

特にお酒に酔った人の介抱だと、周りの人も酔っている場合が多いので、収拾がつかなくなってしまいますね…。

そうなんです。そして、多くの人は、それぞれの善意のもとで声をかけてきているというのも、事態を難しくすることがあります。そういう中での救護対応は自分自身の冷静さを失わせますし、自分自身が冷静ではなくなると、余計なトラブルが生まれて状況をさらに難しくしてしまうこともあります。

酔っている人と言い合いになったりすると、救護対応に専念できなくなってしまいますね…。

一般的な救命講習だと、同じような知識を持った適切な人数の人がとても協力的に従ってくれるのですが、実際に救護対応をすると、いろいろな人が関わろうとして、スムーズに救護対応が進まないことがよくあります。
そこで、こういった救護対応時に、誰かがリーダーシップを取ったり、チームとしてうまく機能するようにハンドリングすると、スムーズに救護対応が運びやすくなります。

何度も声をかけてきて意見を言ってくる人は、考え方によっては「協力しようとしてくれている」っていう人なんですよね。そういう人には、駅員さんやお巡りさんを呼びに行ってもらったり、何かを協力してもらうことで、スムーズに救護対応ができる気がします。

Point

  • 救護にあたっている時に、多くの人が声をかけてきても、冷静でいられるようにする。
  • 周囲の人に対して冷静さを欠くと、余計なトラブルが発生することもあるので、冷静に対応する。
  • 誰かがリーダーシップを取ったり、チームとして機能することで、スムーズに救護対応ができるようにする。
  • 声をかけてくる人は「何かしら協力したい」と思っている人なので、何かをお願いして役割を与えるなど、巻き込むことで救護対応がスムーズに進むこともある。